「報連相は部下の義務」だと思い込んでいた
──先輩になって初めて知った、報連相の本当の意味
「報連相は社会人の基本だぞ」
「もっとこまめに報告しなさい」
私も新入社員の頃、研修で耳にタコができるほどそう教えられてきました。「部下は報連相をするのが当たり前」。そう思い込んで、後輩を指導する立場になってからも、同じ言葉を繰り返してきました。
でも、ある日「教育担当」として研修資料を作るために、報連相の成り立ちを改めて調べてみたんです。そこで気づいた事実に、私は言葉を失いました。
「報連相しやすい上司になること、
報連相しやすい環境をつくることが大切なんだ…」
1. 報連相は「部下を縛るルール」じゃなかった
「報連相(ほうれんそう)」という言葉を広めたのは、山崎富治さんという方です。彼が本当に伝えたかったのは、部下を管理して縛りつけるためのルールではありませんでした。
本質は、もっと深いところにありました。報連相とは、「情報が自然に集まり、組織が正しく判断できているか」を、上に立つ側が自分に問い続けるための考え方だったとされています。
※ 山崎富治氏は、著書『ほうれんそうが会社を強くする』などを通じて、報連相を「情報が集まる組織づくりの考え方」として提唱しています。
2. あらためて整理する、報連相の役割
- 報告: 「今、何が起きているか」という事実を伝える
- 連絡: 「チームで動くために」必要な情報をシェアする
- 相談: 「迷ったときに」一人で抱えず、周りの知恵を借りる
どれも「怒られないため」にするものではありません。「チーム全員が、次に進むための正しい判断をするため」の技術なんです。
3. いつの間にか「部下の義務」のように扱われていた
今の現場では、こんな言葉がよく飛び交っています。
- 「報連相がないのは、部下の能力が足りないからだ」
- 「自分から言いに来ないヤツが悪い」
これまでは、流れていない情報の原因をすべて「部下の義務」として片付けてしまっていましたが、それは立場の強い側の怠慢だったのかもしれません。
4. 上司が向き合うべきは「命令」ではなく「環境」
リーダーや先輩が意識すべきことは、たった一つ。「報連相をしてもらえる状態を作れているか?」です。
- 「忙しいオーラ」で相手を縮み上がらせていないか
- 結論を急ぎすぎて、大切な相談の芽を摘んでいないか
- ミスの報告を感情的に怒鳴って、隠蔽のきっかけを作っていないか
情報が上がらない職場は、「人が悪い」のではなく「環境がそうさせている」のです。
5. それでも、部下は「考えること」をやめちゃいけない
だからといって、「上司が悪いから、報連相しなくていい」という極論も違います。上司も人間であり、現場のすべてを一人で見通すことは不可能です。
一人のプロとして、「今、何を共有すべきか」を自ら考える責任は、立場に関係なく全員にあります。
6. 一番怖いのは「知らされないこと」
「忙しそうだから話しかけないでおこう」というその「勝手な判断」が、実は現場を一番のピンチに追い込むことがあります。
本当に怖いのは、報告を受ける手間ではなく、「知らないうちに、問題が手遅れなほど膨らんでいること」です。早めの共有は、チームと自分自身を守ることにも繋がります。
7. 結論:信頼をつくる技術
報連相はマナーやテクニックではありません。状況を正しくシェアし、判断を一人に背負わせず、チームの失敗を防ぐための、**極めて誠実な「仕事の技術」**です。



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